概要
このカリキュラムについて
このカリキュラムは誰のためのもの?
この学習カリキュラムは、エンジニアとしてのスキルを高め、フリーランスとしても活躍できるレベルになりたいと考えている方向けです。
対象となる方:
- HTMLやJavaScriptなど、基本的なプログラミング言語を知っている方
- AWS基礎カリキュラム(ECサイト構築)を完了している方
- 実際の業務で使えるコンテナ技術を身につけたい方
- モダンなインフラ運用技術を習得したい方
- フリーランスとして活動する際の技術的な差別化を図りたい方
何を学ぶカリキュラムなの?
このカリキュラムでは、従来のEC2で動作しているWebアプリケーションを、最新のコンテナ技術(Docker + Amazon ECS)に移行するプロジェクトを実践します。単なる技術学習ではなく、実際の企業で頻繁に発生する「レガシーシステムのモダナイゼーション」という重要な課題に取り組みます。
例えるなら、「古い一軒家(EC2)から、最新設備の完備されたマンション(コンテナ)への引っ越しプロジェクトを、建築士として設計・実行する」ということです。住人(アプリケーション)の生活を止めることなく、より快適で効率的な環境に移住させる技術を身につけます。
学習期間中に作成するECS Webアプリケーションは、段階的に機能を追加していく形で構築します。
まず最初に、RailsアプリケーションのDockerコンテナ化を行います。これは、今まで特定のサーバー環境でしか動かなかったアプリケーションを、どこでも同じように動く「持ち運び可能な箱」に入れる作業です。例えるなら、引っ越しの際に荷物を標準化された段ボール箱に詰めることで、どの運送会社でも運べるようにするのと似ています。
次に、Amazon ECR(Elastic Container Registry)でのイメージ管理を実装します。これは、作成したコンテナの「設計図」を安全に保管し、バージョン管理する仕組みです。写真をクラウドストレージに保存して、いつでもどこからでもアクセスできるようにするのと同じ考え方です。
続いて、Amazon ECS on Fargateでのサーバーレスコンテナ実行環境を構築します。従来はサーバーの管理(OSの更新、セキュリティパッチの適用など)が必要でしたが、Fargateを使うことで、アプリケーションの実行だけに集中できます。これは、自分で車を整備する代わりに、整備済みのレンタカーを借りるようなものです。
さらに、Application Load Balancerによる負荷分散とヘルスチェックを設定します。これは、たくさんのお客さんが同時に来店した際に、複数のレジを開いて待ち時間を短くするのと同じ仕組みです。また、各レジが正常に動いているかを常に監視し、問題があれば自動的に別のレジに案内する機能も含まれています。
VPCネットワーク設定とセキュリティグループ設定では、コンテナ環境に適したネットワークセキュリティを構築します。これは、マンションの各部屋に適切な鍵をかけ、必要な人だけが必要な部屋にアクセスできるようにする防犯システムのようなものです。
最後に、CloudWatchによるログ管理とモニタリングシステムを構築します。これは、建物全体の監視カメラシステムのようなもので、何か問題が起きた時にすぐに気づけるよう、アプリケーションの動作状況を24時間体制で記録・監視します。
なぜコンテナ移行プロジェクトを題材にしているの?
1. フリーランス向け案件や大手企業案件で多い技術スキルを習得できる
コンテナ移行プロジェクトは、フリーランス向け案件や大手企業案件で多く求められている技術領域です。実際に、ITフリーランス人口は2024年に前年から約2.3万人増加して35.3万人に達し、2028年には45万人を超えて国内IT人材全体の約40%を占める見通しです(参考:INSTANTROOM株式会社 「ITフリーランス及びフリーランスエージェント市場白書2025」 )。また、フリーランスエンジニアの半数以上が独立により年収が上がったと報告されており(参考:株式会社ゼネラルリサーチ調査、 )、市場全体が拡大傾向にあります。
この技術が高く評価される理由は、技術的な難易度の高さにあります。コンテナ移行プロジェクトは専門的な医師や弁護士のような専門職と同じで、誰でもできる仕事ではないからこそ、その技術を持っている人には高い報酬が支払われるのです。多くの企業が「レガシーシステムのモダナイゼーション」という課題を抱えており、デジタル化を進める中で、このような専門スキルを持つエンジニアへの需要が急速に高まっています。
企業がコンテナ移行プロジェクトで期待する効果は多岐にわたります。まず、既存システムの運用コスト削減では、今まで大きな一軒家(従来のサーバー)を丸ごと借りていたのが、実際に使う部屋だけを借りられるシェアハウス(コンテナ)に引っ越すようなもので、サーバー費用を30-50%削減できます。
次に、開発・デプロイ速度の向上により、従来は家全体の設備を点検してから工事する必要がありましたが、コンテナ化により必要な部分だけを素早く更新でき、新機能のリリース時間を従来の3分の1に短縮できます。
システムの可用性向上では、99.9%以上の稼働率を実現し、24時間営業のコンビニのように、いつでも安心してサービスを利用してもらえる環境を作ることができます。さらに、セキュリティ強化により、一つの部屋に問題が起きても他の部屋には影響しない、マンションのような安全な構造を実現できます。
2. 実際のビジネス課題解決を体験できる
このカリキュラムで扱うコンテナ移行は、単なる技術的な練習ではありません。実際の企業が直面している「古いシステムを現代的なシステムに変える」という重要なビジネス課題そのものです。
運用担当者の負担軽減という大きなメリットもあります。従来のシステムでは、夜中や休日にサーバーに問題が発生すると、担当者が駆けつけて手動で対応する必要がありました。しかし、コンテナ化により自動復旧機能が働くため、深夜・休日の緊急対応を90%削減できます。これは、管理人が24時間常駐しているマンションに住むようなものです。
スケーラビリティの確保も重要な効果です。急にお客さんが大勢来店した時に、自動的に店員を増やしてくれるシステムのようなものです。急激なアクセス増加があっても自動的に対応し、ビジネス機会を逃すことがありません。
最後に、災害復旧能力の強化により、万が一システムに障害が発生した場合でも、復旧時間を従来の10分の1に短縮できます。これは、バックアップが複数の場所に自動保存されており、問題が起きたら即座に別の場所のデータに切り替わる仕組みのようなものです。
3. 現場で即戦力となる実践的スキルを身につけられる
このカリキュラムで学ぶ技術は、すべて現在の開発現場で実際に使われているものです。学習完了後は、即座に実際のプロジェクトで活躍できる実践的なスキルが身につきます。
このカリキュラムでは、現場で即座に活用できる実践的なスキルを習得できます。以下のような専門技術を身につけることで、エンジニアとしての市場価値を大幅に向上させられます:
- コンテナ設計: アプリケーションの特性に応じた最適なコンテナ構成を設計できる能力を習得します。
- 移行戦略立案: 無停止でのシステム移行計画の作成と実行を主導できるスキルを身につけます。
- 運用自動化: 監視・ログ収集・デプロイの完全自動化システムを構築できる技術を習得します。
- トラブルシューティング: 本番環境での問題解決とパフォーマンス改善を実施できる能力を身につけます。
- セキュリティ設計: コンテナ環境における適切な権限管理と脆弱性対策を実装できるスキルを習得します。
4. 段階的な成果を実感しながら学習できる
各ステップで明確な成果物が得られ、学習の進捗を実感しながら進められます。完了するごとに「できること」が確実に増えていくため、モチベーションを維持しながら学習を継続できます。
学習の進捗に合わせて、以下のような段階的な成果を実感できます。各ステップで明確な成果物が得られるため、モチベーションを維持しながら学習を継続できます:
- ステップ1: 既存RailsアプリケーションのDockerコンテナ化完了。ローカル環境でのコンテナ実行を確認します。
- ステップ2: ECRへのイメージ登録とバージョン管理の実現。AWSクラウド上でのイメージ管理を体験します。
- ステップ3: ECS Fargateでの基本的なコンテナ実行環境構築。サーバーレスコンテナ実行を実現します。
- ステップ4: ALBと連携した本格的なWebアプリケーション稼働。インターネットからアクセス可能なサービスを構築します。
- ステップ5: 監視・ログ収集・自動デプロイの完全自動化。本番運用に必要な包括的なシステムを完成させます。
5. モダンな技術スタックの習得
現在の開発現場で求められるコンテナ技術とクラウドネイティブな運用手法を学べます。
学習できる技術の組み合わせ:
- Docker + AWS ECS + Fargateによるコンテナ運用
- コンテナ運用時における監視・ログ収集
学習を始める前に
このプログラムは実践的な内容になっているため、手を動かしながら学習することが重要です。理論だけでなく、実際にAWSの画面を操作して、自分の手でコンテナ移行プロジェクトを作り上げてください。
学習を効果的に進めるためのコツ:
- 既存のEC2環境との違いを意識しながら進める
- コンテナの概念を理解してからECSの設定に進む
- 各ステップでの構成図を必ず作成する
- ログやメトリクスを確認する習慣をつける
- 失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返す
準備しておくもの:
- AWSアカウント
最初は難しく感じるかもしれませんが、ステップごとに丁寧に説明しますので、安心して学習を進めてください。完了する頃には、自信を持って「コンテナ移行プロジェクトを設計・実装できます」と言えるようになるはずです。
学習完了後のあなたは:
- EC2からECS Fargateへの移行プロジェクトを一人で完遂できる
- 企業のレガシーシステム現代化案件で中心的な役割を担える